住宅ローン・税金

夫が亡くなったら家と住宅ローンはどうなる?手続きの順番と期限

夫(妻)が亡くなったあと、悲しみの中で次々にやってくるのが、家と住宅ローン、そしてたくさんの手続きのことです。「この家に住み続けられるのか」「ローンは自分が払うのか」「何から手をつければいいのか」。この記事では、配偶者を亡くした方が最初に確認したいことと、期限のある手続きの順番を、不動産の立場からまとめます。

結論:まず「団信」を確認。家のことは急いで決めなくて大丈夫です

住宅ローンを借りた金融機関に連絡する
団体信用生命保険(団信)に入っていれば、保険金でローンが返済されることがあります。
期限のある手続きを順番に進める
相続放棄は3か月、準確定申告は4か月、相続税は10か月、相続登記は3年が期限です。
家を売るかどうかは、落ち着いてから
配偶者には、すぐに家を出なくてよい権利があります。住み続ける・売る・貸すは、家計を整理してから比べられます。

住宅ローンはどうなる?いちばん先に確認したい「団信」

住宅ローンを組むときには、多くの場合「団体信用生命保険(団信)」に入っています。団信は、ローンを借りた人が亡くなったときに、保険金でローンの残りを返す仕組みです。住宅金融支援機構の【フラット35】の場合、団信に入っていれば、亡くなったあとの機構への返済はいらなくなります。

手続きは、まずローンを申し込んだ金融機関に連絡して、団信に入っていたかを確かめることから始まります。金融機関の用紙で、医師の死亡診断書を出すのが一般的です。借りた時期によって制度や手続きが違うため、くわしい流れは金融機関に確認してください。

一方で、【フラット35】では団信への加入は任意です。健康上の理由などで入っていなかった場合は、ローンは相続の対象になり、家を相続した人が引き継いで返済を続けます。金融機関には相続の届け出をし、戸籍や遺産分割協議書などを出すことになります。

夫婦でローンを組んでいた場合

夫婦で連帯債務にしていたり、それぞれがローンを組むペアローンにしていたりする場合は、団信の入り方によって扱いが変わります。たとえば【フラット35】の夫婦連生団信(デュエット)では、どちらかが亡くなると、家の持分や返済割合にかかわらず、その後の返済はいらなくなります。ご自身の契約がどうなっているかは、契約書と金融機関で確かめましょう。妻の名義でローンを組んでいて、妻が亡くなった場合も、考え方は同じです。

期限のある手続きの一覧

亡くなったあとの手続きには、期限が決まっているものがあります。とくに家と住宅ローンに関わるものを、期限の早い順に並べました。

期限手続き
7日以内死亡届を市区町村に出す(死亡を知った日から)
10日・14日以内年金を受け取っていた場合の死亡の届け出(国民年金は14日)。日本年金機構にマイナンバーが登録されていれば、原則いりません
14日以内世帯主の変更の届け出(必要な場合)
すぐに住宅ローンの金融機関に連絡し、団信に入っていたかを確認する
3か月以内相続放棄・限定承認をするかどうかを決める(相続を知った時から。家庭裁判所で延ばせる場合あり)
4か月以内亡くなった方の所得税の準確定申告と納税(必要な場合)
10か月以内相続税の申告と納付(かかる場合。特例を使うときも申告が必要)
3年以内家の相続登記(名義変更)。2024年4月から義務になりました
5年遺族年金を請求できる権利の時効。早めに年金事務所へ

相続登記は、2024年4月1日より前に亡くなった方の家でも、2027年3月31日までに済ませる必要があります。正当な理由なく登記しないと、10万円以下の過料の対象になることがあります。すぐに遺産の分け方が決まらないときは、3年以内に「相続人申告登記」を申し出る方法もあります。

亡くなった夫(妻)に借金があったら?相続放棄と家の関係

住宅ローン以外にも借金があった場合、相続人は、財産も借金もまとめて受け継ぐか、相続放棄をするか、受け継いだ財産の範囲で借金を返す限定承認をするかを、相続を知った時から3か月以内に決めます。財産を調べても判断できないときは、家庭裁判所に期間を延ばすよう申し立てることができます。

注意したいのは、相続放棄をすると、借金だけでなく家も受け継げなくなることです。家を残したいのか、手放してもよいのかによって選び方が変わるため、司法書士や弁護士と一緒に、財産と借金の全体を見てから決めることをおすすめします。

この家に住み続けられる?配偶者を守るしくみ

亡くなった方の家に住んでいた配偶者には、すぐに家を出なくてよいしくみがあります。遺産の分け方が決まるまで(亡くなってから最低6か月)は、「配偶者短期居住権」として無償で住み続けられます。また、遺言(遺贈)や遺産分割、家庭裁判所の審判で「配偶者居住権」を取得すれば、家の持ち主がお子さんなどほかの相続人になっても、原則として亡くなるまで、家賃を払わずに住み続けることができます。

ただし、無条件というわけではありません。固定資産税や通常の修繕費は住む人の負担になり、配偶者居住権の価値の分だけ、自分が受け取る遺産は少なくなります。登記をしておかないと、家が売られたときに買った人へ権利を主張できません。また、亡くなった方が家を配偶者以外の人と共有していた場合は使えず、権利を人に譲ったり、持ち主に無断で貸したりすることもできません。使うかどうかは、司法書士や弁護士と相談しながら決めましょう。

住み続けるかどうかは、住宅ローンが団信で返済されるか、遺族年金などでこれからの家計が成り立つかによって変わります。遺族年金は、亡くなった方の年金の加入状況や、お子さんの有無で受け取れる種類が違います。2028年4月からは遺族厚生年金の見直しも予定されているため、年金事務所で確認しておきましょう。

住み続ける・売る・リースバック・貸すの比べ方

住み続ける
住み慣れた家と地域で暮らせます。ローンが残る場合や、固定資産税・修繕費を払い続けられるかを先に確かめます。
売って、住み替える
まとまったお金が手元に残り、家の管理の負担がなくなります。広すぎる家から、暮らしやすい住まいへ移る方もいます。
リースバック
家を売って代金を受け取り、そのまま借りて住み続けます。引っ越しをしたくないけれど、お金が必要な場合の方法です。家賃や契約期間の確認が欠かせません。
貸す
家を残したまま家賃収入を得られます。お子さんの家や施設へ移る場合などに考えられますが、修繕や管理の手間がかかります。

どれが正解ということはありません。ただ、四十九日や手続きで心も体も疲れている時期に、大きな決断を急ぐ必要はありません。期限のある手続きを先に済ませ、家計の見通しが立ってから、選べる方法を並べて比べるのがおすすめです。

相続税はかかる?配偶者が使える軽減

相続税には基礎控除があり、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」までなら相続税はかかりません。さらに配偶者には、受け取った遺産が1億6千万円か法定相続分のどちらか多い額までなら相続税がかからない「配偶者の税額軽減」があります。自宅の土地は、配偶者が受け継ぐ場合、330㎡まで評価額を80%減らせる「小規模宅地等の特例」を使えることがあります。

ただし、配偶者の税額軽減も小規模宅地等の特例も、使うには相続税の申告が必要です。財産の額によっては、税理士に早めに相談しておくと安心です。

よくある質問

夫(妻)名義の住宅ローンは、残された家族が払い続けるのですか?

団信に入っていれば、保険金でローンが返済されることがあります。入っていなかった場合は、家を相続した人がローンを引き継ぎます。まずはローンを借りた金融機関に連絡して、団信の加入を確認してください。

亡くなった夫(妻)の銀行口座からお金を引き出せません。どうすればいいですか?

亡くなった方の預金は相続財産になり、遺産の分け方が決まるまでは原則として引き出せません。ただ、葬儀費用や生活費のために、相続人が一人でも一定額(1つの金融機関で150万円まで)を払い戻せる制度があります。くわしくは各金融機関に確認してください。

家の名義変更は、いつまでにすればいいですか?

相続で家を受け継いだことを知った日から3年以内に、相続登記をする義務があります。遺産の分け方がまだ決まらない場合は、相続人申告登記を申し出る方法もあります。登記の手続きは司法書士と連携してお手伝いします。

ひとりで抱え込まずに、ご相談ください

大切な人を亡くしたあとの手続きは、数が多く、期限もばらばらです。当社では、家と住宅ローンのことを中心に、司法書士・税理士・弁護士と連携しながら、何から手をつければいいかを一緒に整理します。「まだ何も決められない」という段階でも大丈夫です。ご相談は無料で、秘密は守ります。

出典:住宅金融支援機構「ご本人がお亡くなりになった場合」/住宅金融支援機構「新機構団信の加入について」/裁判所「相続の放棄の申述」/国税庁「準確定申告」/国税庁「相続税の申告と納税」/国税庁「配偶者の税額の軽減」/国税庁「小規模宅地等の特例」/法務省「相続登記の申請義務化」/法務省「配偶者居住権」/日本年金機構「遺族厚生年金」/日本年金機構「年金の時効」/厚生労働省「遺族年金の見直し」/全国銀行協会「預貯金の払戻し制度」(2026年11月時点で確認)

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