監修宅地建物取引士 松本 宗一(横浜不動産再生パートナーズ 代表取締役)
相続した実家や使わなくなった家を、「とりあえずそのままにしている」という方は少なくありません。けれど、手入れをしないまま放っておくと、建物が傷むだけでなく、固定資産税の負担が増えることがあります。その理由と、早めに考えておきたい対策をまとめました。
空き家になっただけで、税金が6倍になるわけではありません
家が建っている土地には、「住宅用地特例」という固定資産税を軽くする仕組みがあります。
01200㎡以下の部分
「小規模住宅用地」として、税金の計算のもとになる額が6分の1に軽くなります。
02200㎡を超える部分
「一般住宅用地」として、税金の計算のもとになる額が3分の1に軽くなります。
空き家になったというだけで、この特例がすぐに外れるわけではありません。ただ、管理が行き届いていない空き家として市区町村から「勧告」を受けると、特例の対象から外れ、200㎡以下の部分では計算のもとになる額が最大で6倍になることがあります。
「最大6倍」は、税額がそのまま6倍になるという意味ではありません。
実際の税額は、土地の評価額や地域、広さ、負担を調整する仕組みなどによって変わります。
「管理不全空家」も勧告の対象になりました
周りに大きな悪影響を与える空き家は、「特定空家」として改善を求められる仕組みがあります。2023年12月の法改正で、このまま放っておくと特定空家になりそうな家も、「管理不全空家」として指導や勧告の対象になりました。
STEP 01管理の状態が悪くなる
市区町村が状況を確認します
STEP 02指導を受ける
改善を求められます
STEP 03勧告を受ける
改善されない場合に出されます
STEP 04特例の対象から外れる
固定資産税の負担が増えます
屋根や外壁の傷み、窓ガラスの割れ、伸び放題の雑草や木などは、指導の対象になりやすいポイントです。
税金のほかにも、こんなリスクがあります
- 建物の傷み:換気や修繕をしないと、劣化が早く進みます。
- 倒壊や落下:屋根や外壁が壊れ、近所の方や通行人にけがをさせるおそれがあります。
- 害虫・害獣:庭木や雑草が伸び、虫や動物のすみかになることがあります。
- 不法侵入:人が住んでいないと分かると、侵入や放火などの危険が高まります。
- 価値の低下:傷みが進むほど、売ったり貸したりするのが難しくなります。
早めに動けば、選べる方法が多く残ります
01自分で管理する
換気や通水、掃除、庭木の手入れを定期的に行い、傷みを防ぎます。
02管理を任せる
遠方に住んでいる場合は、空き家の管理サービスを利用する方法があります。
03貸す
修繕やリフォームをして、賃貸住宅として活用します。
04売る
使う予定がなければ、傷みや維持費が増える前に売ることを考えます。
建物を解体すると、住宅用地特例が使えなくなることがあります。解体を先に決めず、売れる価格、解体費用、税金、その後の使い道を確かめてから判断しましょう。
相続した実家を売るときは、税金の特例が使えることがあります。
要件を満たせば、売って得た利益から最大3,000万円を差し引ける特例があります(相続人が3人以上の場合は1人2,000万円まで)。期限や細かい条件があるため、売る前に税理士へ確認しておくと安心です。
空き家は、時間が経つほど費用とリスクが増えていきます。売る・貸す・管理する。どれが合っているか、まずは今の状況から一緒に整理しましょう。
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