監修宅地建物取引士 松本 宗一(横浜不動産再生パートナーズ 代表取締役)
「修繕積立金がまた値上がりして、払うのがきつい」「住宅ローンと管理費の両方が重くて、気づいたら管理費を滞納していた」。マンションに住む方から、こうしたご相談が増えています。この記事では、管理費や修繕積立金を払えなくなったときに何が起きるのか、そして今からできることを、不動産の立場からまとめます。
結論:滞納は放っておくほど不利に。早めの相談で選べる方法が残ります
督促が来たら、まず管理会社・管理組合に連絡する
支払いの予定を伝えたり、分けて払う相談をしたりできる場合があります。
放っておくと、裁判や差し押さえ・競売に進むことがある
管理組合は、滞納した管理費についてマンションから優先して回収できる権利を法律で持っています。
払い続けるのが難しければ、売る・住み続けながら売るも考える
滞納分は売却代金から精算できることが多く、競売より手元に残るお金が多くなりやすい方法があります。
なぜ管理費・修繕積立金が払えなくなるのか
修繕積立金は、外壁や屋上、給排水管などの大規模な修繕に備えて積み立てるお金です。工事費の上昇や、分譲時に低めに設定されていたことなどから、築年数がたつにつれて値上げされるマンションが少なくありません。
一方で、住む人の暮らしも変わります。住宅ローンの返済が続いている、退職して年金暮らしになった、病気や離婚で収入が減った。こうした事情が重なると、毎月の管理費と修繕積立金が家計を圧迫するようになります。相続したマンションに誰も住んでいなくても、管理費と修繕積立金はかかり続けます。
滞納すると、どうなる?おおまかな流れ
はじめ管理会社から電話や手紙で督促が届く
続くと理事会で話し合われ、内容証明郵便などで正式に支払いを求められる。遅延損害金が加わる規約も多い
さらに続くと支払督促や少額訴訟・通常の裁判などの法的な手続きに進む
最後には給与や預金の差し押さえ、マンションの競売に進むことがある
区分所有法では、管理組合が持つ管理費などの債権について、滞納した人のマンションの権利などの上に「先取特権」という、優先して回収できる権利が認められています(区分所有法7条)。また、滞納された管理費は、そのマンションを買った人にも請求できるとされているため、滞納があるマンションは、売るときに滞納分を精算するのが一般的です。どの段階でどう進むかは、管理規約や管理組合の方針によって違います。
住宅ローンも滞納している場合は、金融機関の手続きによって競売が進むこともあります。その場合の流れは、住宅ローンを滞納すると何か月で競売になる?で解説しています。
払えないときに、今からできること
管理会社・管理組合に早めに相談する
督促を無視するのが、いちばん状況を悪くします。いつまでに、いくらなら払えるのかを正直に伝えると、分けて払う相談に応じてもらえる場合があります。話し合った内容は、書面に残しておきましょう。
家計全体を見直す
管理費だけでなく、住宅ローン、固定資産税、駐車場代まで含めて、住まいにかかるお金を書き出してみます。住宅ローンの返済が重い場合は、金融機関に返済条件の見直しを相談できることもあります。
売って、身の丈に合った住まいへ移る
今後も値上げが続きそうで、払い続けるのが難しいなら、売却も選択肢です。滞納している管理費は、多くの場合、売却代金から精算します。住宅ローンの残りが売却代金より多い場合は、金融機関の同意を得て売る任意売却という方法があり、競売よりも市場の価格に近い値段で売れることが多くなります。
住み続けながら売る
引っ越しが難しい事情がある場合は、マンションを売ってそのまま借りて住むリースバックという方法もあります。家賃や契約期間をよく確かめたうえで、ほかの方法と比べて選びます。
相続したマンションの管理費に困っているとき
親から相続したマンションに誰も住まないまま、管理費と修繕積立金、固定資産税を払い続けている方も少なくありません。相続人が複数いる場合は、誰がいつまで負担するかで揉めることもあります。貸す、売る、持ち続けるを、毎年かかるお金と合わせて比べておくと、家族で話し合いやすくなります。
よくある質問
管理費を何か月滞納すると、競売になりますか?
決まった月数はありません。管理規約や管理組合の方針によって、督促から法的な手続きに進む時期は違います。ただ、滞納が長くなるほど遅延損害金や裁判の費用が加わり、選べる方法も少なくなるため、早めの相談をおすすめします。
管理費を滞納していても、マンションは売れますか?
売れます。滞納分は、多くの場合、売却代金から精算します。住宅ローンも残っていて売却代金で返しきれない場合は、金融機関と話し合って任意売却を進めます。
修繕積立金の値上げは断れますか?
修繕積立金の額は、管理組合の総会などで決まります。決まった額は、区分所有者として支払う必要があります。値上げに意見がある場合は、総会で意見を伝える方法があります。払い続けるのが難しい場合は、住まい全体の見直しを一緒に考えましょう。
ひとりで抱え込まずに、ご相談ください
管理費の滞納は、ご近所や管理組合との関係もあって、誰にも言えずに抱え込みがちです。当社では、管理費とローンの両方を見ながら、続けられる方法、売る方法、住み続けながら売る方法を並べて、一緒に考えます。ご相談は無料で、秘密は守ります。
出典:建物の区分所有等に関する法律(e-Gov法令検索)(2026年11月時点で確認)
マンション管理会社・管理組合の方へ:滞納でお困りの区分所有者さまへのご案内について