今年に入ってからも、「地面師(じめんし)」による事件のニュースが続いています。2月には、東京・新橋駅前の土地をめぐって、持ち主になりすますなどして約3億円をだまし取った疑いで、不動産会社の社長らが逮捕されたと報じられました。
地面師の手口や対策は、専門家の解説の記事にまとめました。こちらのブログでは、不動産の相談を受けている立場から、この事件を見て感じたことを書いてみます。
正直、「他人事ではない」と思いました
地面師の事件というと、都心の一等地や、何十億円という大きな話を思い浮かべる方が多いと思います。ところが今回の事件で逮捕されたのは、不動産会社の人たちでした。不動産の取引に慣れているはずの会社や人が、だます側にも、だまされる側にもなっている。そこに、この手口の怖さがあると感じます。
そして、わたしが日々ご相談を受けている不動産の中には、地面師に狙われやすい条件がそろったものが、決して少なくありません。
ご相談の現場で、よく見かける「狙われやすい家」
たとえば、こんなケースです。
- 親が亡くなったあと、名義を変えないまま何年もたっている実家
- 遠くに住んでいて、年に一度も見に行けていない空き家
- 持ち主が施設に入っていて、家族も鍵のありかがはっきりしない家
- 引っ越したあと、登記の住所が昔のままになっている土地
どれも、持ち主に悪いところがあるわけではありません。忙しかったり、気持ちの整理がつかなかったりして、つい後回しになっているだけです。ただ、地面師から見ると「持ち主がすぐには気づかない不動産」に見えてしまう。そこが心配なところです。
いちばんの守りは、特別なことではありません
対策というと難しく聞こえますが、わたしがお伝えしたいのは、とても地味なことです。
- 相続した家は、名義を変えておく
- 引っ越したら、登記の住所も変えておく
- 権利証や実印は、空き家に置きっぱなしにしない
- ときどき家を見に行き、近所の方に連絡先を伝えておく
相続の名義変更も、住所の変更も、今は法律で義務になっています。「義務だからやる」というより、「自分の家を守るための鍵をかけておく」くらいの気持ちで、できるところから進めていただければと思います。
「いつか考えよう」が、いちばんのすき間になる
空き家や相続した家のご相談で、よく耳にするのが「いつか考えようと思っていて」という言葉です。その気持ちは、本当によく分かります。思い出の詰まった家ほど、決めるのはつらいものです。
ただ、決めずに置いておく時間が長くなるほど、家は傷み、税金はかかり続け、こうした犯罪に狙われるすき間も広がっていきます。売る、貸す、管理を任せる、家族で持ち続ける。どれを選んでも構いません。方針が決まるだけで、その家にはもう一度、人の目が届くようになります。
気になったら、まず確認からで大丈夫です
「実家の名義がどうなっているか分からない」「空き家をこのままにしていいのか不安」。そんな段階のご相談も、遠慮なくお寄せください。登記の確認が必要なときは司法書士とも連携しながら、売るかどうかを決める前のところから、一緒に整理していきます。
ニュースの中の出来事で終わらせずに、ご自身やご家族の家のことを少しだけ思い出すきっかけになればうれしいです。